「いじめノー!」子ども隊 足立・辰沼小 大人抜き解決へ
全国的にいじめが相次ぐ中、児童自身の手でいじめを撲滅しようという取り組みが東京都足立区で始まる。区立辰沼小の児童が結成した「辰沼キッズレ スキュー隊(T・K・R)」。「いじめをしない、させない、許さない」をキャッチフレーズに、いじめ問題に向き合う。文部科学省によると、児童が問題解決 に直接関わる取り組みは全国的に珍しいという。 (土屋善文)
隊の活動は、いじめに悩む児童の相談を受けたり、休み時間におそろいの緑の鉢巻きと腕章をして校内をパトロールしたりする。深刻な場合を除き、隊員が仲裁に入り、児童だけで話し合いを通じて解決の道を探る。
隊の結成は、三十年以上の教員生活で、生活指導を担当してきた仲野繁校長(58)が四~六年生でつくる児童会に提案した。児童も乗り気で、一気に話が進んだ。これまでに全校生徒四百六十六人のうち、全学年から百八十一人が隊員に名乗りを上げた。
隊長の六年岡納琉星(おかのうりゅうせい)君は「いじめに悩んでいても大人には言えないこともある。何を、いじめとするのか難しいことも多いと思う。自分たちで判断するのは不安だけど、困っている子の話を聞いて、いじめが起きにくい学校にしたい」と決意を語る。
仲野校長は「これまでは教師が介入し、事態の収拾を図ってきたが、それだけでは足りないと感じていた。子どもたちに解決能力がないと、再発防止に もつながらない。また、いじめられている子どもは弱い自分を親や教師に知られてしまうと思って、なかなか大人に言えない。子どもにもプライドはある。そこ を考えないといけない」と話す。
隊は十四日に決起集会を開き、活動をスタートさせる。仲野校長は「人が生きている以上、いじめのきっかけになるような出来事やトラブルは必ず起きる。だが、この取り組みが深刻化するのを防ぐ仕組みになれば」と期待する。
◆校内の意識高まる
教育評論家の尾木直樹さんの話 非常に高く評価したい。いじめ問題はこれまで、大人がどうするかという話ばかりだった。子ども自身が立ち上がらな いと問題の根本解決にはつながらない。子どもはいじめかどうかを雰囲気で察することができる。「レスキュー隊」である以上、見て見ぬふりはできないし、彼 らがたとえ教師に言っても、任務なのでチクリにはならない。いじめは許さないという意識が校内で高まるのでは。子どもは大人に怒られるよりも、子どもから 批判されるのが一番こたえる。活動に注目していきたい。