『ごみ屋敷』家主に撤去費支援

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解決条例が成立

 ごみをため込んで近隣住民に迷惑をかける「ごみ屋敷」の問題を解決するため、ごみの撤去費用の支援などを盛り込んだ東京都足立区の条例が、24日開かれた区議会で全会一致で可決された。施行は来年1月1日。

 「ごみ屋敷」に関連する条例は、23区では杉並、大田、荒川でも定めているが、家主への支援策にまで踏み込んだ条例は都内初。条例制定を受け、足立区では悪質なごみ屋敷の抜本的な解消を目指す。

 条例では、ごみ屋敷を「ごみや樹木などにより、周辺住民の健康を害し、生活環境に悪影響を与える状態」と定義。同区内には、悪臭や害虫などが発生しているにもかかわらず、現在まで解決に至っていないケースは31軒あるという。

 条例は、個人名の公表や強制撤去などの強硬手段だけではなく、家主に費用がない場合には100万円を上限に区が支援して撤去したり、過度の収集癖を持つ家主に専門の医療機関を紹介したりするなどの“アメとムチ”の両面の対応を盛り込んだ。

 家主が「ごみではない」と主張して行政の介入を阻むケースも少なくないことから、弁護士や精神科医ら第三者による審議会が認定すれば、行政代執行法に基づく強制撤去も可能とした。

 同区によれば、今年6月に条例案を公表して以降、「ここにもごみ屋敷がある」といった通報が相次ぎ、これまでに計92件寄せられている。同区では 4月、専門の部署を設置して、ごみ屋敷の解決にあたっており、すでに27軒のごみ屋敷を解消。20年以上解決がみられなかったごみ屋敷が、家主の親族の協 力で家ごと撤去されたり、収集癖のあった家主に医療機関を紹介し、「自分でもどうしようもなかったが、今は解放されたようだ」と感謝されたりしたケースが あったという。

 同区の近藤弥生区長は「新条例で、さらに区の総力を結集して解決にあたりたい」と話している。